交換日記を始めて最初の一週間は、書きたいことが次々に出てきます。ところが二週間、三週間と過ぎるあたりで、ノートを前にして手が止まる日がやってきます。「今日は何もなかったな」「この前も似たようなことを書いたし」。そう思い始めると、返事を書くこと自体が少し重くなる。私もそうでした。

そんな「ネタ切れ」の日を私がどうやり過ごしているか、書いてみます。立派な方法ではなくて、交換日記を何度か続けては止めてを繰り返した中で、これは効いたなと思ったことだけです。

ネタ切れの正体は「ネタがない」ではない

書くことがないと感じるとき、本当に何も起きていないわけではないと思います。実際には、「人に見せるほどのことではない」と自分でふるいにかけてしまっている場合がほとんど。朝の電車で隣の人が読んでいた本が気になったとか、スーパーで好きなお菓子が売り切れていたとか。そういう小さなことを、「こんなの書いても仕方ない」と捨てているだけなんです。

交換日記の面白さは、むしろその「仕方ないこと」にあります。相手が知りたいのは大事件の報告より、あなたが今日どんな景色を見ていたか。だから、ふるいの目を大きくするだけでかなり楽になります。

返事に詰まったときの三つの入り口

それでも真っ白なページを前にすると固まってしまう日は、次の三つのどれかから書き始めています。

1. 相手の文章に一行だけ反応する。前回の日記の中から、気になった一文を選んで「ここ、わかる」「これは初耳だった」と書く。そこから自分の話に広げれば、ゼロから話題を探さなくて済みます。返事なのだから、相手の言葉を出発点にするのは自然なことです。

2. 今日の「五感のどれか」を書く。聞こえた音、においなど、一つだけ選ぶ。たとえば「雨上がりのにおいがした」だけでも立派な一段落になります。出来事ではなく感覚なら、毎日どこかにあるはずです。

3. 相手に質問を投げる。「最近よく聴いている曲は?」「子どもの頃に好きだった給食のメニューは?」。質問を一つ入れておくと、次の返事が相手にとって書きやすくなるし、自分の次のネタにもなる。ネタ切れは一人で抱えるより、二人で回したほうが解消しやすいんですよね。

短い返事でも大丈夫、と先に決めておく

続かなくなる一番の原因は、「前回が長かったから、今回も同じくらい書かなきゃ」という見えない基準だと思っています。相手と最初に「忙しい日は二、三行でもOK」と話しておくと、驚くほど気持ちが軽くなります。

実際、短い返事が続いた時期のあとに、ふと長い文章が戻ってくることがよくあります。書けない時期を責めないほうが、結果的に長く続く。日記を書く習慣づくりでも触れましたが、ハードルを下げることは怠けではなく、続けるための設計です。

ネタ帳をつくっておく

もう一つ、地味だけど助かっているのが「ネタ帳」。スマホのメモに、日中ふと思ったことを一言ずつ残しておきます。「駅前の工事、いつ終わるんだろう」「あの店のカレー、また食べたい」くらいの走り書きで十分。いざ書く時間になって何も浮かばないとき、そのメモを見返すと、そこから一つ拾えます。

ポイントは、メモの段階では整えないこと。きれいな文章にしようとすると、メモを取ること自体が面倒になって続きません。

書けない日は「書けない」と書いてしまう

最後に、一番正直な方法を。どうしても何も浮かばない日は、「今日は書くことが思いつかなくて困っています」と、そのまま書いてしまいます。意外と、この一文から会話が始まるんです。相手から「実は私もそうだった」と返ってきたり、「じゃあ今度はお題を決めようか」という話になったり。

交換日記は、上手に書くための場ではなく、相手と時間を共有するための場所です。完璧な返事より、とぎれずに届く返事のほうが、きっと相手にとってはうれしい。はじめて取り組む方は、交換日記の始め方ガイドもあわせて読んでみてください。

ネタ切れは、続けている人なら誰にでも訪れるものです。手が止まったら、まず相手の一行に反応するところから。それだけで、次のページはひらけてきます。

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