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知らないの?と見下ろすと涼は知ってるわけないだろうと言う顔で僕を見上げた。
ドンマイだね、涼。
「いつからだっけ?多分涼がアメリカ行った後くらい?声が掛かったんだよね」
「え?あぁ…はい。高校の試合に代表監督が見に来てそれで先輩が何人かと…孝之と俺が選らばれたんです。たまたま運が良かっただけですよ」
「運だけで此処まで生き残れるわけがないデショ?」
自分でも食えないヤツだなぁと思いつつ笑う。
代表監督は結局そのセンパイ方は選考の時点で落としたんだから。
孝之クンと皐月クンだけが残った。
さぞセンパイ方は悔しかっただろうなぁ。
「高校の方もキミがゴールを守り出してからは守備の堅いチームになった」
「偶然です」
「だけどキミが引退してからはボッロボロ」
「あれは俺だけに試合をさせすぎた…ただの策略ミスです」
謙虚と言うか何と言うか…。
何だか孝之クンも同じことを言いそうで怖いなァ。
「だから…どう言うことなんだ?」
「…だから。日本代表に選ばれ続けてるって話だってば」
それくらい分かってよ、と言うと涼は僕を無視して皐月クンを見た。
うわ、コイツ超失礼。
「そうなのか?」
「だから偶然なんだってば。運良く残ってるってそれだけ」
「偶然なわけないだろう?実力社会だぞ?」
「いや…」
ほら、涼もそう言ってるじゃん。
自慢しろとは言わないけど全否定しろなんて余計に誰も言わない。
このコはまるで自分の存在そのものすら全否定してるみたいで少し痛々しい。
どうしてだろう。
何でこんなに見てて辛いんだろう。
「凄いじゃないか」
「んなことねーよ」
「ある。お前がそのことを認めなくても俺は勝手に思ってる」
涼は昔もこう言う風に彼と接していたのかな。
なんてね。
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息を吐いて俺は皐月の頭を撫でる。
わしゃわしゃに掻き乱してわけが分からなくなるくらいに。
「ちょ、先生!先生ってば!」
皐月の抗議もそのままに無言で撫で続けてると突如後頭部を殴られた。
こんなことをするのは一人しかいないと振り向けば予想通りの人物。
俺が思い切り眉を顰めるとその人物はにっこり笑った。
「皐月クン嫌がってるじゃん」
「え…っと」
「初めまして」
「初めまして…?」
「僕は谷洸。涼とは学部が一緒で昔、一緒に講義を受けてたんだ」
皐月は困ったようにしながらも差し出された手を取った。
突然のことに困惑している。
それでもちゃんと差し出すなんて偉いな…。
「俺は…」
「皆藤皐月クン、でしょ。知ってるよ〜。涼から話は聞いてたし」
「苗字を教えた覚えはない」
「さっき孝之クンに会って気付いた。このコ、U-19の守護神だよ」
U-19?守護神?
何のことだと皐月を見ると驚いたように洸を見ていた。
「見かけたとき何か見覚えあるなーって思ったんだけどね」
「はぁ…」
「孝之クン見て思い出した。あ、あのコ、U-19の将来有望な守護神だ!ってね」
「将来有望なんて大袈裟ですよ」
俺の知らない会話が二人の間で繰り広げられている。
何だか…変な気分だな。
明らかに赤の他人なのに可笑しい、と否定的な感情ばかりが沸き起こってくる。
「まったまたー。僕、サッカー観戦は結構好きなんだよね」
「ご自身はなさらないんですか?」
「しないしない。体動かないもん」
「そうなんですか」
「そう」
「U-19ってどう言うことだ?」
話が途切れたところで口を挟む。
洸が呆れたように俺を見下ろした。
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「んーっ!!!」
突然ガバリと先生の手が口を塞いだ。
いきなり何だよ?!
つぅか鼻まで一緒に押さえんな〜っ!
「んー!んーーっ!!!」
苦しいと訴えてもシカト。
「何も言うな」
分かったから離してってば。
俺が暴れても先生は全然動じない。
どんだけ力あんだよ…!
「もしかして…俺がいなくなってからずっと自分のことを責めてた?」
真っ直ぐすぎる先生の視線に驚いた。
でも、自分のこと責めるって何?
何でんなこと言うの。
俺はなんも変わってない。
「先生…だからその話はもう良いって」
「良くない。どうして何時もお前はそうなんだ?何で自分だけが悪いわけじゃなくても全部自分が悪いって言うんだ?」
「じゃあ、全部誰かの所為にして自分は関係ないって…」
そこまで言って喋るのをやめた。
言えるわけないじゃん。
自分に非があるのに悪くないなんて言えるわけない。
先生は昔も俺だけが悪いわけじゃないって言ってたけど。
でも、んなわけねぇじゃん。
「皐月…。そうじゃない。俺はただ自分だけを責めないで欲しいんだ」
自分だけを責めてる方が楽なんだよ。
人に当たるのはもう、やめた。
人に当たるのは自分も相手も気分が悪いんだ。
「自分を傷付けて…何になる?」
ぐっと奥歯を噛み締める。
先生の言葉は昔も真っ直ぐだった。
それは4年経った今も何も変わらない。
「傷付けてなんか…ない」
「…皐月」
「ホントだって…!」
お願い、信じて。
と見れば分かった、と先生は詰めていた息を吐いた。
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どうして皐月は何時も自分を責めるんだ?
初めて会った日もそうだった。
話してる時間の中で何度か自分を責めるような発言があった。
試合に負けた日もそうだった。
皐月が悪いわけじゃなかった。
それなのに自分を責めていた。
今もそうだ。
俺は約束を破った。
それなのにどうして自分だけが悪いと決め付ける??
「皐月…」
「本当にごめん。俺、もう突っ走らないようにする」
そうじゃない。
突っ走らないようにする前にもっとするべきことがあるだろう?
そう思っても口にすることが出来なかった。
ただ愕然として皐月を見ていた。
俺が一番変えなきゃいけないと思ったことは何一つ変わっていなかった。
「そんで…せんせ、は何で…」
「皐月…俺のこと、もっと責めて良いんだ」
「いつまでその話引っ張るんだよ…それより俺は先生が何で俺のこと、教えられなかったのか…知りたい」
皐月…。
どうして自分ばかり責める?
そんなんじゃ何時かお前は壊れてしまう。
どうして自分が悪くなくてもそうやって自分が悪いと言えるんだ…?
「…先生?」
不安そうな皐月に促されるまま俺は説明した。
2年契約だからと油断して大学の3年からアメリカの大学へ留学しようと思っていたこと。
編入が認められてアメリカに行くことが決まっていたから皐月のことを見てやれなかったこと。
日本に戻って来た理由は言えないけど一通り、話せることは全て喋った。
「アメリカ…」
「あぁ…。人文学は言うなれば心理学なんだ。それで心理学を本場アメリカで学んでみたかった」
「じゃあ…」
そのまままた自分の過去を責めるような発言をしようとした皐月の口を塞いだ。
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先生についてくと桜の木の下のベンチにつれてかれた。
先生と花見したいって言ったの、覚えててくれたのかな…。
俺は先生の隣に座ってぐっと拳を握った。
「せんせ…」
「…何だ?」
「俺のこと、嫌になったんじゃない?」
「なるわけないだろ?ごめんな」
「ちがっ…俺、もう教えたくないて思われたんだと思って…そんで…」
何が何だか分かんなくなって俺はただ先生に思うことを何の文脈もなく言った。
先生には嫌われたくなかったのに、やっぱり仕事だから来てくれただけなのかなとか思ってたらホントに悲しかった。
迷惑はかけたくなかったけど、でもかけてたのは知ってたし。
いつも時間より長くやってくれてたし、先生の自由奪ってたの知ってたけど。
先生が教えてくれるようになって勉強が楽しいって思えるようになって、そんでようやく周りからも認められて。
そんなことをただずらーっと並べて。
自分でもバカっぽいって分かってたし、よく考えればすげぇ恥ずかしいことだけど、でも止まんなかった。
先生は昔みたいに俺の頭を撫でながら黙って全部聞いてくれた。
「あんなこと言って…ごめん」
「何で皐月が謝るんだ?皐月は何も悪くないだろ?」
「もう甘やかさなくていいよ。俺、もう19になるんだから悪いことしたらちゃんと謝れる」
「そうだけど…」
納得してなさそうな先生に頭を下げる。
こんなんじゃ本当は許してもらえないこと言ったけど。
でもちゃんと形にして伝えたい。
俺、ホントにワガママ言った。
ガキだったって言うのはただの言い訳。
「本当にごめんなさい」
「皐月…俺こそごめん。勝手に思い込みで話進めてた」
「あれは俺の責任。先生は何も悪くない」
知らないで勝手に怒って。
俺が悪いのに先生の所為にして逃げて。
マジで孝之には感謝しないと、な。
「先生がどう思っててもそう言うことにして欲しいんだ。俺のために」
「…何でだ?どうして自分一人の所為だと思い込もうとする?」
「事実じゃん。何度も考えたよ。でも明らかに俺が悪かった」
「そうじゃないだろう?俺は約束を破った」
先生は何でか悲しそうな顔をした。
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あ、そうか。
皐月クンって守護神の皆藤皐月クン?
凄いなぁ、この学校。
U-19の中でも優秀な二人がいるんだ。
「それでキャプテンが僕に何か用かな?」
「先ほど鷹野涼さんと一緒に居られましたよね?」
「涼の知り合い?」
「間接的に、ですが」
皐月クンと涼のこと、知ってるみたいだね。
それでさっき一緒にいた僕のところへ来た、と。
「お互いさ、面倒な友達持ったよねぇ」
座りなよ、とベンチの横を叩くと一礼してから座った。
このコ、予想以上に礼儀が正しいみたいだね。
キャプテンとしてのポリシーか何かかな?
「背中を押してあげないと仲直りも出来ないなんてね」
「そう…ですね」
おや、このコも悩み持ち…かな。
「君も何か悩んでるみたいだね」
「…どうしてそう思うんです?」
少し警戒したような瞳。
怪しいと思われてる?
それでも構わない。
どうして二人が仲直りをしそうなこの時、君はそんなに苦しそうに笑ってるの?
「そう言う顔をしているから」
「そうですか」
「君、何か思うことあるんじゃない?」
「ないですよ。もし皐月が鷹野さんに連れられて貴方の元へ来たら伝言、お願い出来ますか?」
突然のことに首を傾げながら「良いけど、何?」と問う。
彼は「おめでとう」と一言だけ言うと僕に背を向けて「有り難う御座いました、お願いします」と去って行った。
一難去ってまた一難?
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背中を蹴って皐月クンのところに行くように言った。
僕は皐月クンの話を楽しそうにする涼が好きだった。
別に変な意味じゃなくてね。
友達として、好きだった。
皐月クンの話をする時、涼は何時もより随分柔らかくなる。
何時も優しい。だけどそれよりももっと。
だから二人には和解して欲しかった。
涼を見送りに行った時、涼の様子が少しだけ可笑しかった。
だから問い質した。
そしたら皐月クンを裏切ってしまったと言った。
どうしてそんなことになったのか分からなかった。
だってそうでしょ。
あんなに仲が良さそうだったのに。
どうして突然裏切るとかそんな単語が出てくるの。
"見捨てないと言ったのに。俺は見捨ててしまった"。
だけどさ、涼。そんな約束少し無理があると思うよ?
だって涼には涼の道があるんだから。
でも、皐月クンはまだ少し子供だった。
皐月クンの気持ち、分からないわけでもない。
涼の言ってた通り彼は出来の良いお姉さんと比べられて、色々な人に色々言われて。
涼みたいにちゃんと話を聞いてくれる人がいなかったんだと思う。
だからこそ涼がちゃんと話を聞いてくれたのが嬉しかったんだ。
でも、その涼が何も教えてくれなかった。
それが悔しくてきっと、悲しかったんだよね。
僕も涼が相談してくれなかったらきっとそうなってた。
「少し中学3年生の彼には大きすぎる問題だったのかな…」
「大きすぎる問題でしたよ、先輩」
「わっ…」
ベンチに座って独り言を言ってたら微妙に見たことのあるコが僕の背後に立っていた。
あ!!思い出した!!
「大井孝之クンだ!!」
「そうですが…」
「ホンモノ?握手して〜」
「…はぁ」
相手のコはちょっと引きながら握手してくれた。
未来のA代表キャプテン候補に握手してもらっちゃった。
そう言えば皐月クンも見覚えあったな…。
初めて見たハズなんだけど…。
「初めまして。僕、谷洸。大学院で人文学を専攻してるんだ」
「初めまして。大井孝之です。経営学部の1年です」
真面目そうなコ。
でも多分観察力は凄いんだろうなぁ。
試合でもそうだしね。
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孝之から逃げたのは孝之が言ってたことが事実だったから。
でも、先生の口から聞きたくなかった。
"もうお前には教えたくなかった"なんて。
何でか分かんないけど、先生がごめんって言ったときどうしようもないくらい悲しくて、どうしていいか分からないくらい混乱した。
ずっと続くなんて思ってなかった。
だけど、もっと心の準備が出来てから訪れるものだと、思ってたから。
とぼとぼと構内を一人で歩く。
孝之に八つ当たりして俺、サイテーじゃん…。
あとで、ちゃんと謝らないと…。
でもやっぱ先生には会えない。
だって俺…何言うかわかんねーもん。
先生にも事情があったんだと思う。
分かってても傷つけるような言葉ばっかり投げてしまいそうで怖い。
「成長しねー…」
「…何がだ?」
先生の声が聞こえてびくんと体がはねる。
逃げようとして腕を掴まれて、息を乱した悲しそうな先生の瞳にぶつかった。
「な…で?」
「皐月…悪かった」
「ちが…そんな言葉が聞きたいんじゃない!!何で追い掛けて来たんだよ!!」
思わず出た拒絶の言葉。
裏を返せば追い掛けてくるなと言う、言葉。
「皐月に謝りたかったんだ」
「っ…誰も謝れなんて一言も言ってない!」
「分かってるよ。俺の我が儘だってことくらい」
それでもと先生は俺の手を強く握った。
そして俺の都合で皐月の面倒を見てやれなかったこと、後悔してるんだと、そう言った。
何で?
俺のこと、もう嫌になったんじゃないの?
だから続けてくれなかったんじゃないの?
「話だけ聞いて欲しい…それで嫌だと、そう思ったら…」
「…聞く」
理由があるなら。
昔聞けなかった分、今聞きたい。
俺のことが嫌になったんじゃないなら知りたい。
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皐月に逃げられてしまった。
名前を呼んでも振り返りもせず、走って行く背中を俺はただ見送った。
どうして俺に追い掛けることが出来る?
アイツを傷付けたのは俺。
皐月が会いたくないと思うのなら、俺は会わない方が良いんだろう。
「…追い掛けないの?」
「俺には追い掛ける資格なんてない」
「何?その資格って。意味分かんない」
「俺は皐月を傷付けた。だから逃げられて当然なんだ」
行こう、と促すと洸は足を止めたまま「バッカじゃないの」と言い放った。
「謝れば良いだけじゃん。お前、その年になってそんなのも出来ないわけ?」
「洸…?」
「皐月クンだってもう18になったんだよ?理由を説明したら分かってくれるハズじゃん。でもそうやって逃げるのってさ、お前が弱いからじゃないの?それを皐月クンの所為にして超大人気ない」
口を挟む隙間もなくペラペラと言葉を続ける。
唖然としてると最終的に「確かにお前には皐月クンに会う資格なんてねぇよ」と吐き捨てられた。
相変わらずキツイな…。
「お前のことなんてもうしらねぇ。俺が皐月クンと友達になってくる」
「やめ…!」
「何で?涼にどうこう言われる筋合いねぇし」
ニッコリ笑みを浮かべてはいるけど目は笑っていない。
口調も荒い上に一人称も変わってる。
本気で怒っている。
「何でそんなに俺と皐月を会わせたがるんだ?」
「皐月クンのこと可愛がってたから」
「…それだけ?」
「十分な理由だろうが」
確かに可愛がっていた。
俺は末っ子だから弟が出来たみたいで嬉しかったし、皐月も懐いてくれていた。
だから余計に可愛がっていたけど…。
「あー!もうっ!ウザイな!さっさと追い掛けて謝って来いよ!!悩む必要なんてドコにあんだよ!」
「お前…本当に怒ると性格変わるよな」
「そんな余裕ぶっこいてんなボケ!」
バシンと叩かれて背中を蹴られた。
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ウソだと思った。
でも、確かに先生がそこにいた。
どうして?何で?
そう思うと同時に俺は先生から逃げた。
だって、何言ったら良いかなんてわかんねぇよ。
孝之と先生の声がしたけど俺は聞こえないフリをした。
何で此処にいんだよ?
何で…?
孝之から話を聞いたとき、ただの偶然だと思ったのに…!
「皐月!」
ぐい、と孝之に腕を捕まれて無理矢理孝之の方を向かされた。
孝之は何故か申し訳なさそうな顔をしていた。
何で孝之がんな顔してんだよ…。
「やっぱりまだ…許せてないの?」
「…そうじゃねーよ」
「じゃあ、何?罪悪感でもあるの?」
何でお前はそう痛いトコついてくるかなー。
流石キャプテンとしか言えねぇっつの。
つか、俺がアホなだけ?
「ずっと、先生のこと考えてたんでしょ?それなのに何で会おうとしないの?」
「そんなの…」
「逃げて解決する問題なの?会って話して…それでやっと解決するんじゃないの?」
のろのろと顔を上げると少し怒ったような孝之の顔が見えた。
何で俺のことなのにお前が怒ってんの。
「ちょっと」
「…分かってるよ」
「分かってない。分からないからそんなこと言うんじゃないの?」
「お前こそ俺の何がわかんだよ?!」
掴んでいる腕を思い切り振り払う。
もう、これ以上何も言うな。
俺は孝之に背を向けた。
「逃げるの?」
その問い掛けにも答えず俺は隠れるように逃げた。
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