過去の日記
2008年04月(6)
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北斗「さあやって参りましたトークショー★のお時間です」
優樹「………」
北斗「なんだ、その何か言いたげな目は」
優樹「別に……。ただ、ここのタイトル漫談じゃなかったのかなぁって…」
北斗「ああ、これか? 適当らしい。俺はさぁ、北斗と優樹のって」
優樹「それはいらないから」
北斗「……そんな力一杯言わなくても…」
優樹「今回は漸く、だねぇ」
北斗「漸く、だなー…。長かったよなぁ、結構」
優樹「出逢うまでに12行ってるもんね。まあ、この話は軽く500は越えるだろうから良い、らしいんだけど」
北斗「500!? しかも軽く!?」
優樹「この番号付けでいけばね。まあ、この辺はどうでも良いんじゃないかな」
北斗「良いのか…?」
優樹「一人小説だからね」
北斗「そういえばさぁ、ゴールデンウィークだよなぁ」
優樹「ああ、そうだね。連休かぁ」
北斗「連休利用して旅行とか、良いよなぁ」
優樹「旅行……どこ行きたい?」
北斗「俺か? 俺は断然、ディズ●ーランド!」
優樹「伏せ字意味なくない…? でも、男一人でそこはちょっと厳しいんじゃ…」
北斗「ひっ……一人、って、なんで決めつけるんだよ…。か、彼女とか…」
優樹「だって彼女いなさそうだし」
北斗「酷っ! いないけど!」
優樹「やっぱりいないんじゃん…」
北斗「良いだろ、家族で行ったって……。い、伊月が行きたいって言うんだよ…」
優樹「伊月くんが? ふーん……」
北斗「なっ……んだよ、その目…」
優樹「別に。 ちなみに俺は、遠出はしないなぁ。行っても近くの海とか」
北斗「若者らしからないヤツだな……」
優樹「人混み苦手だからね。渋滞も嫌いだし」
北斗「あー…お前ってそんな感じだよなぁ」
優樹「……君も彼女いなさそうな感じが漂ってるけどね」
北斗「だからそれ酷いって…!」
北斗「結局今日も、無意味に終わったな」
優樹「うん」
北斗「まあ、良いか…。適当だし」
優樹「良いの…?」
北斗「だって、知らないのか? テキのテキは適当のテキなんだぞ」
優樹「そうなの…!?」
北斗「なんか、HN考えるの面倒だったらしい」
優樹「作者がそんなのだからダラダラなんだね……」
北斗「まあ、緩く行こうって事で」
優樹「良いのかなぁ……」
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「あの人、いがなんとかって言うんだよ」
「いが?」
「うん。なんだったかなぁ…」
呟きながら、思い出すように腕を組んで眉間に皺を寄せる伊月。名前を思い出そうとしているのだろう。
俺も、聞き覚えがあるかもしれない。いが…だから、いがい、いがたに、いがもと、いがぐり……は、違うか。
いが、いが、と何度も繰り返していると、ふと、脳内にある光景が突然蘇った。まだ記憶に新しい、二週間前の……。
『新入生代表、五十嵐優樹』
「あ」
唐突にわき上がった二週間前の出来事に、思わず声を上げる。声を上げずにはいられなかった。
俺は、彼に会った事があるのだ。
正確には、見た事だ。俺の高校に通っている大抵の生徒は見たことがあるだろう。
入試成績トップで、入学式の時答辞を読んだ少年。泣きぼくろが印象的な、黒髪の優等生。制服をきちっと着こなして、爽やかな表情で壇上に立っていた。
その時は、縁のない人間だと思って気に留めなかったヤツだ。ましてや、こんな所で逢うなんて思いもしなかった……。
「五十嵐……だ」
五十嵐、優樹。確か1年D組だ。彼を思い出して、改めて疑問が起こる。
彼は新入生だ。なのにどうして、サッカー部に入らなかったんだろう。あんなに上手くて、楽しそうにしているのに。
浮かんだ疑問は、さっきまでのモヤモヤとは別の渦巻きを生んだ。
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ここに来て漸く、俺は我に返る。そうだ、ぼんやり見ている場合じゃなかった。
どんな事情かは知らないが、上手いやつがいれば何か変わるかもしれないのだ。部活に出ていないなら、誘わないのは損と言うものだろう。
「あのさぁ、」
「ごめん、今急いでるから」
やっと話を切り出した、と言う次の瞬間。彼はどこか慌てた様子で頭を下げて、こちらに向かって走ってきた。
そのまま、俺の方へは目を向ける事無く脇を抜けて行く。突然のことに、腕を掴んで引き留められなかった。
「あっ、おい!」
走っていった背中に向かって声を掛けたが、彼が振り返る事はなかった。気のせいかまるで逃げるように、素早い動作だった……。
ここで追いかけるのもなんだか変だし、何より、逃げられるような事をした覚えがない。俺は呆気にとられて、走っていった方向の道を見つめた。
「あれ? 兄ちゃん、いつからいたの?」
呆然としていた耳にふと、聞き慣れた声が入ってきてそちらに視線を運ぶ。どうやらみんな帰ったらしく、残っているのは俺とその子供だけだった。
きょとんとした目をこちらへ向けていたのは、見知った少年だ。さっきの小学生に混ざっていたらしい。
見知った少年、と言うか、毎日家で顔を合わせる少年。弟の伊月だ。俺の胸くらいまでしか身長がない伊月は、見上げる形でこちらに目を向けている。
うちは近所だからいても不思議じゃない。むしろ、最近遅かったのはこの所為だったのかと妙に納得してあまり驚かなかった。
いや、偶然ここにいたのには驚いたけど。
「俺は、さっきからいたけど……。アイツお前の知り合い?」
「アイツって、コーチの事? 知り合いじゃないの?」
「コーチ?」
再びアイツが走っていった方向を見ながら、首を傾げる。
コーチ、と言うからには小学生にサッカーを教えている、とかだろうか。なんで小学生相手にして、部活には入らないんだ?
疑問に思っていると、伊月が隣にやってきて俺の顔を覗き込んだ。 |
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制服のヤツ一人に対して、小学生は四人。四方八方から勢いよく攻められているにも拘わらず、彼はまるで自分の一部みたいにボールをコントロールしていた。
足の運びは無駄がなく、それでいて隙もない。まるで軽くあしらうように、軽やかに攻撃をかわしている。
お世辞抜きに上手いと言えるプレイに、俺の目は釘付けになった。いくら小学生が相手とはいえ、四人いるのによく体が動いている。背中に目でもついているみたいに、敏感に反応していた。
彼は楽しそうな笑顔を浮かべて、広い空き地を走り回っている。目を輝かせて、それこそ子供みたいな顔だ。
それにしても、不思議だ。なんで俺は彼を学校で見かけた事がないんだろう。
いや、なんとなく見覚えはあるような気がする。不思議なのは、部活の事だ。
こんなに上手いならサッカー部に入るのが自然で、こんな空き地で小学生を相手に遊んでいる方がおかしい。今日だって部活があったし、部員ならここで遊んでいるはずはないんだ。
何か入れない事情があるのだろうか……と、彼らの姿を目で追いながら頭の隅で思考していた時だった。
不意に彼は、ボールを浮かせ、上に向かって高く蹴り上げた。
空高く上がったボールを、思わず視線が追いかけて仰ぐ。
ボールは綺麗に真上へ上がって、そのまま垂直に彼の手の中へ収まった。すっぽり収まったボールを手に、彼は小学生たちに目を向ける。
「それじゃあ、今日はこのくらいにしようか。暗くなってきたし」
にこりと優しそうに笑って、ボールを男の子に手渡した。渡された彼は、やや不満そうに眉根を寄せて彼を見上げる。
「えー? まだ明るいじゃん」
「駄目だって、暗くなると危ないから。それに、俺は用事があるしね」
「うー……。分かったよ…」
諭すような口調で言われ、小学生は暫く渋っていたが、物足りなさそうにしながらも頷いた。それを確認して、彼は空き地の出口……つまり、俺が立っている方へと振り返る。
振り返ると当然ながら、俺とバッチリ目が合う。彼は全く気がついていなかったのか、驚いたように目を見開いた。 |
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うちの近所には、倒産した会社が取り壊された跡の大きな空き地がある。スーパーから帰る途中、必ず通る場所だ。
広い更地には何もなく、コンクリートが敷かれているだけなので、子供たちの格好の遊び場になっている。一応私有地だが、所有者も黙認しているみたいだ。
俺が小学生の頃からだから、少なくとも五年は空き地のままになっている。これからも買い手が付きそうな気配は当分ない。
放課後は大体、買い物を済ませてから家に帰る。今日も例の漏れず、右手にはスーパー石井のビニール袋、左手には肩から提げたスポーツバックを持って、俺はすっかり暗くなった道を歩いていた。
日が長くなったとはいえ、この時間帯になるとさすがに薄暗い。既に街灯が照らしている道を、いぜんモヤモヤとした頭を抱えて歩く。
非常に奇妙な光景だろう恐らく。顔はこれでもかと言うくらいに歪んで、時々独り言を言いながら歩いているのだから。
頭の中にあるのは、部活の事ばかりだ。
良い案が浮かばない。かと言って、このまま現状を維持するのはいけない。こういうのは行動が早いほうが良い、のに、その方法がないのだ。
気持ちばかりが走って、頭が追いつかない。非常にスッキリしない心境だ。部活の事を考えると頭が痛くなってくる。
重たい気持ちのまま歩き続け、いつの間にか俺は、例の空き地に差し掛かった。その時ふと、賑やかな声が耳に入ってくる。俺は、声を確かめようと顔を上げた。
声は空き地の方からする。子供の声だ。恐らく今日も、誰かが遊んでいるのだろう。少々遅い時間だが、ほぼここには遊んでいる子供がいる。
子供は気楽に遊べて良いな、と、じじくさく愚痴っぽい事を思いながら歩く。そして何気なく、空き地の中に目をやった。
遊んでいたのは、女の子も混じった何人かの小学生と、泣きぼくろと襟足で揃えた黒髪が印象的な、制服姿の少年だった。少年……と言うか、うちの高校の制服だから同じ歳か上級生だ。
制服のヤツが中心になって、白と黒のボールを蹴っている。小学生はそれを追いかけるような形で。制服のヤツが、ボールを持っている形だ。 |
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| タイトル |
今日の漫談 第一回 |
今日の気分 | 優樹と北斗 |
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優樹「なにこの今日の漫談って」
北斗「まあ、今日分の書き込みは終わりましたよーってアレじゃねぇの? でも多分アバウトらしい」
優樹「ていうか俺は本編に出てすらいないけど良いの?」
北斗「良いって良いって、ここ本編に関係ないし。ここは、なんか楽しげに会話する感じが目的だから」
優樹「でも、なんで漫談…?」
北斗「いや、俺はさぁ、「北斗と優樹のトークショー★」とかの方が良いと思ったんだけどさ。長いって却下されて…」
優樹「やだよそんな頭に虫湧いたみたいなタイトル」
北斗「虫!? おま、優等生はどこ行った…!」
優樹「……やだよそんなダサイタイトル」
北斗「いや、言い直しても遅いから! しかも微妙に棒読みだし!」
優樹「あ、ダサイは良いんだ」
北斗「え、あっ。ダサイってなんだコラ!」
優樹「遅い。 ていうかこの会話、趣旨はなんなの?」
北斗「とりあえず、適当に会話。あと、微妙にお知らせとか」
優樹「微妙なんだ…」
北斗「まあ、ほぼ無意味な会話だと思ってくれ」
優樹「しかも本編関係ないとかあり得ない無意味っぷりだよね」
北斗「まあ良いじゃん、キャラの側面を知るっての? そんな感じで」
優樹「要はどうでも良いスペースなんだね」
北斗「ザッツライ!」
優樹「発音が悪い」
――ぴろりろりん♪ 優樹から北斗への好感度が50下がった。
北斗「はっ!? なに今のアナウンス! ていうかお前発音一つで好感度下がりすぎだろ!」
優樹「テキさん遊び過ぎじゃない…?」
北斗「なあ、ホントに好感度下がったの!? なあ!」
優樹「うるさいなぁ、大声で…。ていうか好感度って何」
北斗「恋愛シュミレーションにつきものなアレだろ!」
優樹「……」
北斗「……ん…? なんか、誤解してない?」
優樹「ううん。別に」
北斗「じゃあ目を逸らすな目を…! おい、微妙に遠ざかるな! この微妙な距離が俺のハートを傷つけるから!」
優樹「えーっと…。次の更新で俺が出るのかな、うん。早く出逢ってもらいたいよね」
北斗「だから遠ざかるなって! おい!」
――ぴろりろりん♪ 優樹から北斗への好感度が50下がった。
北斗「だからそれもう良いって! あ、ちょ、こんなとこで幕閉じ…!?」
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「漫画みたいに……いかないかなぁ……」
何となしに小さく呟いて、足下のボールを軽く蹴る。
弱小サッカー部にとびきり上手い選手が入って、チームを引っ張っていく、と言うサッカー漫画のセオリー。もしもそんな風に、俺がチームを引っ張って行ければどんなに良いだろう。
しかし現実は、部員を引っ張るどころか孤立して隅っこで練習している。これじゃあ、悪いばっかりだ。
空回りばかりしている自分に、嫌気が差してくる。昔から空回りしていたが、さすがに今回は堪えていた。
結局その日も、進展がないままいつも通り一人で練習をして終わった。
日が傾き、夕焼けが照らし出す街並み。アスファルトには真っ直ぐ、長い影が伸びている。
道の少し端を歩きながら、俺は眉根を寄せて俯いていた。
肩を落とした姿は逆光も相まって悲観しているように見えるかもしれないが、そんな事は気にしていられない。脳内を占めるのは今後の打開策のみだ。
案は浮かんでは却下して消え、浮かんでは消えを繰り返す。
不毛だ。
非常に不毛だ。
「スーパープレイヤーが俺の他に十人も入れば、試合に勝てるのになぁ……」
と、思考に没頭しすぎて考えがそのまま出てくる始末だ。しかもろくでもない考えしか浮かばない。
元々頭の良くない俺にとって、これほど脳を活性化させるのはある意味労働に近かった。
いや、肉体労働なんかより何倍も疲れる。この疲労感が思考を崩壊させるのも時間の問題だ。
「あー、もう! やめだ! 俺は考えるのは向かん!」
モヤモヤとし続ける脳みそに、俺はついに叫び声を上げた。通行人の何人かが驚いて振り返ったが、気がつかないフリをして立ち止まる。
霞がかったような頭をどうにかしたくて、乱暴に掻きむしってみる。が、そんな事でスッキリするはずもない。もしスッキリしたらストレスは綺麗さっぱりなくなるだろう。
言い様のない気色の悪さが脳でざわざわしているまま、俺は無理矢理思考を切り替える事にした。
これ以上考えても、無駄だ。所詮俺に、脳みそを使うのは無理なんだ。
「晩飯……うん、晩飯を考えよう。今日の献立どうするかな……」
一人で呟いて結論し、俺は再び歩き出した。
周囲からの「変な人を見る目」を受け流しながら。 |
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この日を切っ掛けに、俺は部員たちから孤立した。
と言うよりは、自分から孤立していった。
あんなやる気のない連中と遊ぶ気が起きなくて、一人で練習メニューを組み、一人でそれを行う。殆ど自主練習だが、部員たちはそれを咎めようともしない。
言っても無駄だ、と、この一週間で俺の頑固さを理解したからかもしれない。最初のうちは注意してきたけど、今は誰もやって来なくなった。
まあ、顧問がいないからこんな状態なのかもしれないけど。
俺の他にも一人孤立しているのだが、これが孤立する理由は俺とは別の所にある。まあ、それは別問題だから良いとして。
ずっとこのままの状況ではいけない事は、いくら脳みそが足りないと言われる俺でも理解していた。
いつまでも一人で練習をしてはいられない。サッカーは団体競技だ。
部員と打ち解けられない状態では、勝つことはおろか試合に出ることさえ叶わないだろう。
今はこの状態を咎める顧問もいないが、それもいつまで続くか分からない。
一通りの筋トレメニューを終え、汗を拭いながら溜息を吐いた。
このままではいけない、と思いつつも、振れば空っぽの音がしそうだと自分でも思う頭の俺は、これからどうするかまでを考えていなかった。正確には、考えても良い案が浮かばない。
ただ、彼らに流されてはいけないとは思い、孤立した現状に至るわけだ。
足下には白と黒のサッカーボール。切頂二十面体、と言う形らしい。詳しい事はよく知らないが、ネットでそういう風に記述されていた。
ボールはよく磨かれていて、それでいて使い込まれて、大事にされているのが分かる。部員たちがサッカーが好きではあるのが分かるだけに、歯痒かった。
何より、あんなに楽しそうにボールを蹴っているのに。なんでそれが、頑張るとかそう言う方向に生かされないんだろう。
なかなか、思い通りにいってくれない。
思い通りにいく事ばかりじゃないと分かっていても、腹立たしく思わずにはいられなかった。 |
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「別に……ウチは元々弱小だし。頑張ったってどうせ勝てないなら、楽しい方が良いだろ?」
どうせ勝てないなら。
彼が溜息を吐きながら何気なく発したその言葉に、俺の怒りは沸点に達した。
まるで最初から諦めているような物言いだ。俺が一番嫌いな、やる気のなさ。やってもいないのに諦めるなんて、そんなのどう考えたっておかしい。
「なんすか、それ! 勝ちたくないんですか!」
声を荒げて身振り手振りで話す俺の熱は、最高潮に達していた。対して、周囲の態度は冷めている。
何故俺がここまで興奮しているのか、それにすら困惑している様子だった。苦笑までしているように見える。
引き下がらない俺に嫌気が差してきたのか、部長は鬱陶しそうに首を振った。
「部活なんて楽しけりゃ良いだろ……。ウチはずっとそうだしな。みんなもそうだろ?」
同意をするように彼が部員たちへ振り返る。声を掛けられた彼らは、黙ったまま冷ややかな目でこちらを見た。
その面倒くさそうな視線が、何よりも彼らの心情を物語っていた。
四面楚歌のような状況に、俺は歯を食いしばる。
普通ならここで怯んで、引き下がるところかもしれない。けれど、自分で言うのもなんだが気が荒い俺は、更に沸き起こる怒りを感じていた。
「俺は、勝ちたいんだ!」
勢い任せで絞り出すように叫んだ言葉は、当然のように彼らには届かなかった。
まるで分厚い壁が間を隔てているように。
彼らは、相変わらず面倒くさそうに冷めた目を俺に向けるだけだった。
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若干たじろぎそうになりつつも、寸での所で踏みとどまる。ここで逃げちゃ駄目だ、と自分に言い聞かせ、俺は口を開いて続けた。
「あの……。普通、走り込みとかからじゃないんですか…? あと、基礎練とか……この部のやり方は分かんないですけど、俺ら新入生だし…」
とりあえず、ここは嫌な感じを抑えて遠慮がちに言ってみる。けれど、心の中には既に沢山のわだかまりが広がっていた。
なんだか、おかしな感覚だ。大きなズレがあるような感じがして、気持ちが悪い。
部長は予想していなかった意見だったのか、少しの間きょとんと目を丸めていた。けれどもすぐに締まりのない笑みを浮かべ、手を左右に振って苦笑する。
まるで俺を、馬鹿にしているかのような仕草で。
「あー、良いの良いの。ウチは顧問殆ど来ないし、自由なとこだから。楽しめりゃ良いんだって」
楽しめりゃ良い。
その言葉に、むわりと怒りが込み上げる。仮にも試合をするのに、そんな態度で良いはずがない。こんなのは、試合をする相手にだって失礼だ。
俺は握り拳を作って、強く声を上げた。
「でもそんなんじゃ、試合に勝てないんじゃないですか…!」
少し荒い口調で言うと、部長はやや不機嫌そうに顔をしかめた。そしてまるで自分が正しいと言わんばかりに。見下すような視線をこちらに遣る。
酷く、面倒くさそうな表情だ。 |
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