過去の日記
2008年11月(10)
2008年10月(16)
2008年09月(28)
全て表示
お気に入り
雑談ページ
nikkijamおすすめ
占いカフェ
懸賞ざくざく
人気ランキング
メニュー
プロフィール
メール送信
携帯へURL送信


|
|
2008/12/03(水) 20:21:56
ルウェリン
|
| タイトル |
自覚のないねずみもどき |
今日の気分 | 終わりなの |
|
|
ルルの人生には不幸の星が輝いている。
…と表現した人はなかったが、まあ実際、彼の人生は冴えたものではなく、いつも歴史に残らない程度の小さな不運に巻き込まれ、「ついてない。」と同情もしてもらえない程度の不幸を甘受して、それから逃げるべくの努力も実を結ばないのが今までの彼の人生だった。
それは、どうやら当分変わることがないらしい。
パナシェの街へ戻る途中、彼は妙に体が痒いと思ってあちこち掻いていた。
掻いても掻いてもかゆみは収まらず、牽いていたポンキーに八つ当たりしようかと思った瞬間、目の前が、突然ぐらりと揺れた。
それはあっという間の出来事で、彼の視界がどんどん下がっていく、脇でポンキーが妙な鳴き声をあげていたが、すっかり冷静さをなくした彼は、ポンキーの鳴き声に注意を払っている余裕などなかった。
彼はバランスを崩してすっころび、すっころんだと思ったら視界は真っ暗だった。
彼はがむしゃらに手足を振り回したが、何か重いものの固まりが上に載っているようで、視界は遮られたままだった。
誰か人の声がはるか上の方でした、そうしたら突然上の固まりが上方に遠ざかっていって視界が明るくなる。
彼はがむしゃらに駆け出したが、何か駆け出した先の様子が違っていた。
目の前に、人の足がある。
ものすごく巨大な。
この一瞬で巨人国に来てしまったのかと思って、彼は慌てて立ち上がり、上を見上げると、そこには見慣れた顔があった。
…ただし、彼にとってはものすごく巨大な。
彼は立ち上がって「何であんた達そんなに大きいんっすか!?。」と手足を振り回しながら叫ぼうとしたが、実際彼の喉から出たのは「ちーちー。」というねずみ並みの鳴き声で、傍から見るとその姿はねずみに似た動物が後ろ足で立ち上がり前足を振り回している姿にしか見えなかった。
その後の騒ぎは、先の描写に戻って振り返るとして、ラスティに振り払われ、アシュリーに跳ね飛ばされ、おばさんの林檎の籠に入り込んでしまったルウェリンはその時点で見事なまでに気絶していた。
もっとも、オンディーヌがねずみもどきを拾い上げるのに、そのほうが好都合ではあったのだが。
気絶しているルウェリンは、いまだに自分がねずみもどきな姿をしていることを自覚していない。
|
|
|
2008/12/02(火) 23:33:53
オンディーヌ
|
| タイトル |
転がる林檎の中で |
今日の気分 | とりあえず一連 |
|
|
「ねずみ!誰か助けてー!」
くだんのおばさんはねずみが大嫌いだったらしい、ルルねずみ(便宜上こう呼ぶ)の入った籠を放り出すと、中から林檎が転がり落ちて、数人の人がそれを踏んで転んだ。
転んだ人が咄嗟にその辺に捕まろうとするので、その辺の荷馬車の荷物に手を掛けてしまって、それが一緒に崩れたり、ひどい人になると道端に立っていた案山子に抱きついて転んだり…、騒ぎはしばらく収まらず、小さなオンディーヌは危うくその騒ぎに突き飛ばされそうになったのだが、彼女には目的があったので、とにかく頑張った。
投げ出されたバスケットから転がり落ちたのは林檎だけではなく、ねずみと化した(とオンディーヌには思われた)ルウェリンもいたはずだ。
何故それがルルと分かったのかと聞かれても、オンディーヌには説明できない。
ただ、彼女にはある程度魔法の痕跡やそう言った変わったことの痕跡が見えるので、服の中から走り出た小さなねずみもどきが、何らかの原因で変化してしまったルウェリンだと言うことがわかっただけなのだ。
そんなことはあるはずはないといっても、何しろラスティも大人から子供に戻ってしまったくらいだ、世の中何があるか分からない。
ともあれ、オンディーヌはバスケットのそばで気絶していた小さなねずみもどきをそっと掌で包んで持ち上げた。
それもきっとルルが人間のままだったら絶対にないだろうという気を使った手つきで、注意してねずみもどきを拾い上げるオンディーヌに何故かポンキーが不満そうに鼻を鳴らした。
林檎を踏んで大騒ぎになった人だかりが収まるころには、ねずみを拾い上げたオンディーヌも含めて、アシュリー、ラスティ、そしてロバのポンキーの一行はそそくさとその場を離れていた。
「…オンディーヌ、なに持ってるの?」
分かってはいるが、あまり聞きたくないのだろう、アシュリーが幾分嫌そうに少女に尋ねる。
「…ルルさんよ、置いていくわけには行かないんでしょ。」
オンディーヌがそう答えると、ラスティがまだ信じられないようにオンディーヌの手のほうを覗き込んだ。
「本当にこれがルルのおっさんなのか…?」
ねずみもどきはまだ気絶している。 |
|
|
2008/11/29(土) 11:13:09
ラスティ
|
|
ラスティが恐る恐るといった手つきで、動いたように見えた部分の服をそうっと捲ったとき、突然そこから何かが飛び出してきた。
「うわあっ!!」
「ぴぎーーっ!」
思わずラスティはそのまま尻餅をついて、覗き込んでいたポンキーまで変な鳴き声を上げて、数歩後退した。
オンディーヌは悲鳴こそ上げなかったが、咄嗟にラスティの外套のフードをしっかりと掴んでいた。
飛び出してきたのは薄茶色の柔らかそうな毛に包まれた小さな動物で、ネズミのように見えたが、それにしては尻尾がずいぶんと短かった。
ネズミ(仮)は恐慌状態になっているのか、後脚で立ち上がり、両前脚をあたふたと振り回していたが、その姿は妙に誰かを連想させた。
驚きから立ち直ったラスティが手を伸ばそうとすると、ネズミは数センチ飛び上がり、いきなりラスティの腕を駆け上った。
「きゅーーー!!」
反射的にだったが、ラスティは反対側の手でネズミを払い飛ばしてしまい、しまったと思ったときにはネズミはか細い悲鳴を上げながらアシュリーの方へ飛んでいった。
「アシュリーさん、ダメ!」
「えっ、なに?」
オンディーヌが叫ぶのと、自分に向かって飛んできたネズミを、アシュリーが思わず平手で横へ打ち払ったのが同時だった。
カワイソウなネズミは、綺麗な放物線を描きながらぽーんと飛んでゆく。
「ルルさん!」
「はぁ!?」
「マジかよ」
オンディーヌが空中を飛んでゆくネズミに向かってルウェリンの名前を呼びかけ、それを聞いたアシュリーとラスティは頓狂な声を上げる。
ネズミを追いかけてオンディーヌが走り出し、数瞬遅れてあとの2人も続いた。
ネズミが落ちて行く先には、ちょうど道を向こうから歩いてくるおばさんがいて、上手いことおばさんが抱えていた籠の中へすぽんと入り込んだ。
「きゃぁ〜、ネズミ!?」
何事かと籠の中を覗き込んだおばさんは悲鳴と共に両手を上げ、手放された籠は当然そのまま下に落ちて、中に入っていた林檎がごろんごろんと道へ転がってゆく。
「うわー!」
「なんだなんだ!?」
足元に転がり込んできた林檎に躓いて、道行く人数人が地面に転び、転んだ先で道の脇に積まれていた物をなぎ倒す。
林檎と共に転がり落ちたネズミは誰かに踏まれてしまう前に、オンディーヌが救出したが、町の入り口周辺はにわかに大混乱となった。 |
|
|
2008/11/28(金) 23:17:27
ラスティ
|
| タイトル |
消えたおっさんの謎 |
今日の気分 | 続きますがー |
|
|
急に――かどうかは誰も見ていなかったのでわからなかったが、とにかくポンキーの奇声で振り返ってみると、そこにいるはずのルウェリンの姿がなかった。
3人の後ろに立っていたのは、ポンキーだけだった。
「あれ、おっさんは?」
「もう、勝手にどこ行ったのよ」
ラスティが目を丸くして辺りを見回し、アシュリーも憤慨したように呟いて同じくルウェリンの姿を探した。
だが、目に見える範囲のどこにも見当たらない。
2人ともルウェリンの背の高さを想像して探していたので、足元の低い位置には目を向けておらず、それに気付いたのは、
「ポンキーちゃん、どうしたの?」
オンディーヌがポンキーの様子を不審に思って話し掛けてからだった。
ポンキーの足元に布の塊に見えるものが落ちていて、ポンキーはそれを蹄の先で踏んで、鼻先でつつこうとしていた。
「ちょっと待て、それっておっさんの服じゃ…」
ラスティは、布の塊の色合いがルウェリンが着ていた服と同じ色だと気付く。
慌てて近付き、ポンキーに踏まれないようにしながらしゃがみ込んで布を摘み上げてみると、それは確かにルウェリンの服だった。
「……消えちゃったの?」
オンディーヌはしゃがんでいるラスティの隣りに立って、不安そうな顔で服を見下ろした。
「やだ、なんで服だけあるの……」
心配そうな2人と対照的に、どんな想像をしたのか、アシュリーは嫌〜な顔をした。 何気にひどい。
しかし、いくらなんでも服を脱ぎ捨ててどこかへ行くとも思えず、何かがルウェリンの身に起こったのは確かだ。
ラスティは、自分の体が小さくなってしまって服のサイズが合わなくなった経験があるだけに、咄嗟に同じようなことを想像したが、ルウェリンの場合は姿を消してしまっている。
一体何が何が起こったのか――、考えながらラスティは眉を寄せて落ちた服を睨みつけるようにしていたが、ふと、その布がもぞ、と動いたような気がした。 |
|
|
2008/11/26(水) 22:14:24
ルウェリン
|
|
「い、いや、分かんないっすけど、な、なんか変な味のが…。」
ルルが一部吐き出したものを、あまり見たくなさそうにラスティが視線を向けるが、訝しそうに首をかしげる。
「…なんだろう?
見たことのない木の実だけど…、こんなの拾ってきてたっけ?」
ラスティが知らない木の実が紛れ込んでいたというのにルルは慌てる。
「な、なんすか、毒!?
得体の知れない木の実って、一体!?」
ラスティはちょっと思案して、考えてから答えた。
「いや…、大丈夫じゃないかな。
本当に猛毒なら、もうあたってるだろうし、もし何かあるとしてもちょっと齧っただけだから、悪くても少し腹痛が起きるくらいのもんじゃないかな、…多分。」
多分がついたところにルルは泣き笑いのような表情を浮かべるが、アシュリーが
「しっかりしなさいよ!
今ちゃんと無事なんだから大丈夫でしょ!」
と発破をかけたので、一応それ以上は黙った。
もっとも、この得体の知れない木の実は、翌日に、思わぬ騒ぎを引き起こすことになる。
この遺跡にはめぼしいものはなかったし、魔族の言語で書かれた書物なども見つけることが出来なかったので、オンディーヌがいても、特に何も役に立ちそうなものは見つけることは出来なかった。
当然、いったん街に戻って他の場所を当たろうということになるわけで、翌朝、日が登ってから一行は町への道を辿り始めた。
その道中。
どうもルルの様子がおかしい。
もぞもぞしながら、しきりに背中を掻いたり、首を掻いたりしている。
「何やってんの、虫にでも刺されたの?」
呆れたようにアシュリーが尋ねたが、ルルは自分でも
「いや、なんか妙に痒いっす…。」
と首をかしげていた。
本当の異変は、街の入り口で起こった。
唐突に、ロバのポンキーを牽いていたルルの姿が消えたのだ。
消えたというのは正確ではなくて、彼は最後尾を歩いていたので、誰も視線を向けていなかったので、皆が振りむいたらいなかったというのが正確なところなのだが、とにかく、ルル以外の三人はポンキーが変な「びぎゃっ。」という鳴き声をあげたので振り向いたのだ。
そこにルルはいなかった。 |
|
|
2008/11/26(水) 21:57:58
オンディーヌ
|
|
オンディーヌが野宿にそれ以上反論しなかったのは、一応彼女なりに理由がある。
それは主たる理由として、駄々を捏ねて「子供っぽい。」と思われたくないというまさに子供らしい理由によるものではあったが、彼女はその理由自体が子供っぽいということには気付いていなかった。
副たる理由としては、彼女は人間の子供に比して経験もあったし、利発だったので、アシュリーの言うとおり、「急いで帰っても日が暮れる」というのが本当だということにも気付いていたからだ。
一行は、遺跡の壁に隠れるようにして小さな焚き火を焚き、その周りに集まった。
多少は冷え込むが、アシュリーは黙ってオンディーヌを抱き寄せるように毛布にくるみ、女性陣のそばにはロバのポンキーが寄り添うように膝を折っていたので、アシュリーとオンディーヌが寒い思いをすることはなかった。
ラスティも毛布を1枚使っていて、一応ルウェリンも毛布を使っているのに何故か一番妙に寒そうに見えてしまっていた。
夕食は、妙に食べられる野草や木の実に詳しいラスティが先頭に立って、手持ち以外にも食材集めをし、鍋を火にかけてシチューともスープともつかない物を煮立てていた。
それでも温かい食事というのは身に沁みる。
「…これ、何?」
オンディーヌが珍しそうに煮立てられた野草の名前をラスティに聞いている。
「これは、そこに生えていた野草だけど、結構芯が硬いから良く煮ないとだめだ、黒く見えるくらい煮てちょうどいい。
良く噛まないとだめだぞ。」
なにげに実は面倒見のいいラスティは物珍しそうに鍋の中身を確認しているオンディーヌに逐一食材の説明をしている。
ルウェリンは何故かまた鍋のつぎ分け係になっていて、落ち着かなげに全員の器を見ながら、最後に自分の分をつぐという役割をいつの間にか引き受けていた。
何故かそういう役回りを帯びてしまうのも、彼の性格によるものか。
「うぇっ。」
最後に吟味していれたはずの鍋の中身を、彼は思わず吐き出した。
「汚いな、何するんだよ。」
「え、ちょっと何、何か入ってたの?」
オンディーヌは何も言わなかったが、微妙に眉を寄せてルウェリンを見ている。
ラスティとアシュリーの二人から一度に声を掛けられて、彼は慌てた。 |
|
|
2008/11/24(月) 17:41:28
アシュリー
|
|
一通り探索を終えて4人で集まったが、誰にも収穫はなく、特に何も見つからなかった。
「オンディーヌ、あの目印残しとけよ」
そう言って促すラスティに頷き、オンディーヌは水筒の口を開けると、休息を取ったときにやって見せたように、手の平に零した水からシャボン玉を作り上げた。
そうして、ふわりと浮かび上がったシャボン玉を、そうっと両手で包み込むようにして、建物の玄関に当たる場所の、あまり目立たない位置に移動させた。
シャボン玉はオンディーヌが手を離しても、風に流れることもなく宙に浮かんだ。
それを心持ち離れた場所で見届けてから、ルウェリンが口を開いた。
「これで用事は終わりっすね。じゃあ、すぐに帰らないと日が暮れちまうから急がないと……」
空を見上げてさっさと帰りたそうにしていたが、アシュリーとラスティにあっさりと撥ね除けられてしまう。
「何言ってんの、急いで帰っても日が暮れるわよ」
「そうだな。それよりはここだったら一応屋根もあるし、ここで一晩明かしてから明日帰る方がいいな」
つまりは野宿をしようという話だ。
「えっ……」
「ええっ!? こ、ここで!?」
いくらか不安そうな声を上げたのはオンディーヌで、それよりももっと大きな声を上げたのはルウェリンだった。
「朝に言ってたでしょ。何よ、あんた怖いの?」
明らかに怯えた様子でキョロキョロと辺りを見回していたルウェリンだったが、アシュリーに半眼で見られるとぶんぶんと首を振った。
「ち、違……何が出るかわからないから危険だと――」
「だからここでって言ってるんでしょ」
アシュリーは言い訳がましいルウェリンの言葉を最後まで聞かずスッパリと言って、オンディーヌにはいくらか柔らかく「いいわね?」と確認を取った。
「わかったわ」
オンディーヌは特に反論もせず頷いた。 |
|
|
2008/11/24(月) 17:35:43
ラスティ
|
|
その後も昼食をとったり、何度か休憩を挟んだりして、ようやく目的地の遺跡に着いた頃には、昼をずいぶんと回っていた。
「ああ、あれじゃない?」
アシュリーが指差した前方に、半ば崩れた石塀らしきものが見えた。
もとはレスターの遺跡と同じぐらいの、小さなお屋敷といった規模の建物だったようだが、状態が悪く、崩れている部分の方が多い。
「とりあえず、何か手掛かりでもないか探してみよう」
ラスティはそう言いつつ、自分でも何がどういう手掛かりなのか今ひとつわかっていなかった。
とにかく、もしオンディーヌの父親が想像した通りの行動を取っていれば何か残してくれているかもしれないし、変わったものでもあればオンディーヌに見てもらうということで、それぞれ探索するために分かれた。
ラスティとオンディーヌの2人は、別々に探索を始めたが、途中で合流してそれからは一緒に行動していた。
そうして建物の内部を調べまわってみたが、今のところ何も見つかってはいない。
「特に変わったものは無いよなぁ」
ラスティは調べていた、居間だったと思われる空間の残った壁から手を離し、そのままその壁を背にして床に座り込んだ。
「そうね」
オンディーヌは短く答えて、ちょこんと崩れ落ちた壁の一部に腰掛けた。
ラスティはふとオンディーヌに顔を向けた。
「なあ、こっちに住んでいる魔族っているんだよな」
「お父様はそうおっしゃっていたわ」
軽く首を傾げてオンディーヌが答えると、ラスティは軽く息を吐いた。
「そいつがどこにいるかわかればいいんだけどなぁ」
ラスティ自身オンディーヌに出会うまでは魔族なんていう存在はおとぎ話の中の存在だったし、今でも居ることがおおっぴらに知られていれば、ティムやエルクスのように魔族を研究する者たちも現れなかっただろう。
「お前の父親もさー、どうせならもっと具体的に教えといてくれたら良かったのにな。こっちの世界に住んでいる魔族がいるって言うんだったら、そいつがどこに住んでいるかとか」
「それはそうかもしれないけど、お父様が悪いのじゃないわ」
父親を悪く言われたと思ったか、少し不機嫌そうな顔になったオンディーヌに、
「ま、今更言っても仕方ないことだけどな」
とラスティは肩をすくめた。 |
|
|
2008/11/19(水) 22:23:36
ルウェリン
|
| タイトル |
小心者の流されぱなし |
今日の気分 | 終わります |
|
|
オンディーヌが意を決して、自分なりに考えて作って見せた「目印」を見て、
「へぎゃっ。」
と、奇妙な悲鳴を上げたのはルルだった。
奇妙な悲鳴を上げられて、オンディーヌはぱっと「割れない水玉」を消し、水玉は元の水に戻って、そのまま落ちて地面を濡らした。
思わずあげてしまったルルの悲鳴に非難を浴びせたのは、いくらか傷ついたような表情をしているオンディーヌではなく、アシュリーとラスティだった。
「今更、なんでそんな大騒ぎするんだよ、分かってることだろ…!」
「ちょっと、奇妙な声上げないでよ!通りすがりの人の注意引いたらどうするの!」
アシュリーの言っていることはともかく(あたりには人通りはない)、二人ともがオンディーヌを気遣っていることは間違いないが、ルウェリンもオンディーヌを傷付けるつもりはなかったらしく、あたふたして
「い、いや…!あっしはそんなつもりじゃ…!」
と言い訳していた。
…怖いと思っていると正直に言えない、それも小心者である。
ところで彼は小心者ついでに、大変小物なので、ここで読者の皆さんにだけ、先に秘密を暴露しておこう。
昨晩、彼が朝と夜にこそこそしていたのは、「上げ底の靴を履いている」ことを知られたくないがためである。
彼は身長が大変低いことをはなはだ気にしていて、通常よりもかなり底の高い靴を履いていた。
彼はそれがばれないために着脱には細心の注意を払っているが、旅の途中、寝起きを共にしていれば、ばれるのは時間の問題である。
ばれたとき彼がどれほど慌てるかは、想像に難くない。
そしてそれがばれたとき、彼は、流されてこのたびの同行を承諾したことを最大に後悔することになるのである。 |
|
|
2008/11/19(水) 21:49:30
オンディーヌ
|
|
歩きながら、アシュリーに問われたことは、オンディーヌにとっては手痛いことだった。
「お父様が同じことをするかもしれないって言ってたけど、もしそうだとしても、入れ違いになる可能性の方が大きいわけじゃない? そういうのってわかるの?」
同じこと、というのは、父親が魔族の遺跡や魔族を目当てにオンディーヌを捜すかもしれないということだ。
けれど、確かにそのままではアシュリーの言うとおり入れ違いになるかもしれない。
オンディーヌは自覚はなかったが、子供らしい、父親に対する無条件の信頼があったために、そこまでの考えが及ばなかったのだ。
オンディーヌが首を横に振ると、アシュリーが
「じゃ、何か方法を考えないとね。」
と言ったので、オンディーヌは、歩きながら、ともすれば遅れがちになりながら、「方法」を考えていた。
ラスティが言い出してくれた2回目の小休止のとき、オンディーヌは歩きながら考えていたことをアシュリーに言ってみる。
「方法は、あるかもしれないわ。」
だいぶ前に言っていた自分の言葉とオンディーヌの台詞が頭の中で繋がらなかったのか、アシュリーの顔に疑問符が浮かぶ。
「だから、お父様に分かってもらう方法が、…絶対じゃないけど、多分。」
後になるにつれ、自分でも声が弱くなるのを感じた。
けれど誰も馬鹿にする様子も見せないで真剣に聞いているので、オンディーヌは、それに励まされて言葉を続ける。
「お父様に分かってもらうには、目印を残せばいいと思うの。
…私だって、分かる方法で。」
オンディーヌの言葉に、アシュリーが真面目に問いかける。
「あんただって、分かる方法があるの?」
「お父様には分かるわ…、多分。
私なんて比べ物にならないくらい、強い魔法が使えるの。
だから、お父様に習った水の魔法で、こんな風に、『割れない水玉』を作ってその場所に残していけば、…お父様には分かると思うわ。」
オンディーヌはちょっと迷ったようだが、水筒からちょっとだけ左手に水を零し、くるりと右手の人差し指を回すと、そこから綺麗な大きなシャボン玉が宙に浮いた。 |
|
|