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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3190 |
今日の気分 | 裏サイド:3191 |
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「ほら、おなか空いたでしょ」
由良の好きなものたくさん作ったんだから、とルッスーリアは
やっと出てきた由良に嬉しそうにそう言った。
そして席につくように促すと、すぐに料理を皿に取り分ける。
「ルッスーリア、そんなに食べられないよ」
「良いから良いから。無理してでも食べなきゃ、そのうち倒れるわよ」
「そうだよ。最近ずっと部屋にいたんだから」
ちゃんと食べてね。
マーモンはそう言って隣の椅子に腰掛けた。
レヴィも何やら言っているのだが、様子が気持ち悪いこともあって、
由良は曖昧に笑っていつもついつい流してしまう。
そうしていると、ルッスーリアが「ほら、早く食べちゃって」と口を開いた。
余程心配をかけてしまっていたのかと、今更ながらに思う。
心配をかけているという自覚はあったのだが、ここまでだとは思わなかった。
ここまで心配してくれるということは嬉しい、けれどやはり申し訳なく思うのだ。
「・・・、」
ルッスーリアやマーモンを見ていると、ベルが怒っても仕方なく思えてくる。
否、怒られて当たり前なのだ。
これは自分の我侭でしかないから。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3189 |
今日の気分 | 裏サイド:3188 |
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「……」
扉の外に、由良とマーモンの気配を感じ、ベルは顔を顰めた。
由良が出てくるなら、さっさと部屋に戻っておくべきだったと思うのだが、
ルッスーリアに手伝わされていた為、できなかったのだ。
「まぁ、スクアーロがいないだけマシか」
由良がスクアーロと顔をあわせれば、どうなるか。
考えただけで憂鬱と苛立ちの混じる最悪の展開だけは回避できた事にベルは溜息を吐く。
そして、料理の並ぶテーブルから離れ、部屋の隅にあるソファーまで歩くと、横になった。
「ちょっと、どうしたのよ、ベル」
「うっせー、オカマ」
「誰がオカマよ」
「王子は寝る。起こすなよ」
本当なら、いますぐにでもここを出て、自分の部屋に戻りたい。
しかし、それをしようとすれば、由良と顔をあわせてしまう。
窓から出ていくという方法もあるが、安全対策で開かない為、破壊するしかなく、
そんな事をしたら確実にザンザスに怒られる。
さすがのベルも、やはりそれは避けたいのだ。
「……」
ベルが目を閉じるとほぼ同時、扉が開く。
ルッスーリアやレヴィが騒ぐのが聞こえてくるが、
ベルはやはり目を閉じて、みんなの居る方に背を向けたままだった。
好きだから、恋人になる気もないのに束縛する事が許せない。
何も知らねぇのに、自分だけが悲劇のヒロイン気取りやがって。と思ってしまう。
叶わないのに捕らわれたままの辛さがわかるし、
その対象が自分ではない事の悲しさもあって、やはり腹が立ってしまうのだ。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3186 |
今日の気分 | 3187:裏サイド |
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「・・・」
「由良?」
「・・・起きる」
だから、取りに行かなくて良いよ。
由良はそう言いつつ、ベッドから降りた。
正直、あまり気は乗らないのだが、かといってこのまま、というわけにはいかないということも分かっていた。
マーモンはそのことに一応は安堵したのか、由良の元まで戻って来ると、
逃げてしまわないようにということだろうか、ぎゅうと由良の手を握った。
そこまでしなくとも良いのにと由良は思いつつ、軽くマーモンの手を握り返した。
「いっぱい食べてね、由良」
「・・・そこまで食べられないよ」
「でも、きっと見たら食べたくなるよ」
ルッスーリアがいっぱい作ってて美味しそうだったから。
マーモンは笑みを浮かべながらそう言った。
そうして広間に着くのだが、中には複数の気配がある。
それを憂鬱に感じつつ、「由良?」と足を止めたことに首を傾げるマーモンに、首を横に振った。
「何でもない」
「そう?」
「・・・うん、平気だよ」
だから気にしないで、と由良はマーモンの頭を撫でた。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3185 |
今日の気分 | マーモン/裏サイド:3184 |
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「ほら。わかったら、何か食べようよ」
そう言ってマーモンは由良を起こそうとするのだが、由良は動かない。
しかし、「じゃあ、勝手にしなよ」とベルのように言う訳にもいかず、困った顔をする。
ここで自分まで、そんな事をしたらどうなるか、想像に容易いからだ。
「ねぇ、由良は何がしたいの?」
「……」
「どうしたら元気になって、ご飯も食べるの?」
「……」
「由良は誰に何を求めてるの?」
「……」
「黙ってたって、何もわからないし、何も伝わらないよ?」
こうしてたって、皆に心配かけるだけだよ。とマーモンは言う。
何も知らないからこその素朴な疑問なのだが、由良にとっては直球過ぎて辛くもある。
けれど、マーモンは、由良が何を求めていて、どうして欲しいのか、まったくわからないのだ。
だから聞くしかないのだが、由良は無言で返事一つしない。
その事にこっそりと溜息を吐いた。
「とりあえず、僕、食べる物を何か持ってくるね」
ルッスーリアが由良の心配して、いっぱい由良の好物作ってたから。
と言うと、マーモンは由良の頭を撫でていた手を離す。
そして、ドアの方へと向かうと由良が起き上がる気配がした。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3180 |
今日の気分 | 3181:裏サイド |
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「すぐに元気にならなくても良いよ。でも、やっぱり何か食べた方が良いと思うな」
じゃなきゃ、倒れちゃうよ。
マーモンはそう言いつつ、ぽんぽんと由良の頭に手を置いた。
そして由良が普段マーモンにするように、ゆっくりと頭を撫でる。
「ベル、きっと心配してたんだよ、由良のこと」
「・・・」
「でもベルもちょっと苛立ってて、それで色々言っちゃったんじゃないかな」
心配してるのに由良にそれがちゃんと伝わらないから。
そう言いつつ、マーモンはよしよしと撫でる。
小さな手ではあるが、それはとても暖かいものに感じられた。
由良はぎゅう、と枕を抱き締めたまま、鼻を啜る。
苛立たせたのは自分の態度だということも分かっている。
分かっていても、どうしようもなかったのだ。
「由良も、そんなベルにちょっと腹が立ったんだよね?」
「・・・うん」
小さく頷く由良にマーモンは少し笑みを浮かべる。
そして「じゃあ、後で仲直りしようよ」と促すようにぽんぽんと頭を軽く叩いた。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3179 |
今日の気分 | マーモン/裏サイド:3180 |
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「由良…」
由良の聞き間違いじゃないの?
と言いかけ、先程のベルの様子を思い出すと、確実に言ったと思うマーモンは言葉を止める。
しかし、ベルは理由もなくそんな事は言わない。と言えば、由良は余計に泣くだろう。
マーモンにとっては、どっちも大事だから、仲直りして欲しいと思うのだが、
どうすればいいかがわからない。
そもそも、ルッスーリアと違い、由良が閉じこもっている理由すらわからないマーモンは、
閉じこもってる由良の心配をしないでベルが怒っている理由がわからないのだが。
「……あれ? 話したくないって言ったのは由良じゃないの?」
由良の言葉に違和感を覚え、その正体を考えていたマーモンは首を傾げる。
由良は、「ベルに口利かないって言われた」と言った。
しかしベルは、「由良が何も言うな、放っておけって言った」と言っていたのだ。
どちらが正しいかわからないが、2人の言い分は食い違っている。
「……」
「ベルは、由良が話したくないし放っておいて欲しいって言ったって言ってたよ?」
ベルは、由良が元気になるまで由良の言う通りにするって意味で言ったんじゃないの。
とマーモンが言うと、由良は心当たりがあるのか、ぐすっと鼻を啜った。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3178 |
今日の気分 | 3177:裏サイド |
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それから暫くすると、不意にドアが控えめにノックされた。
ベルではない様子に少しばかり安堵しつつ、気配を探る。
そうしていると、「由良、入っても良い?」とマーモンの声が聞こえてきた。
「・・・良いよ」
そう言うと、ドアが少しだけ開く。
ひょっこりとマーモンは顔を覗かせ、そして部屋に入ってきた。
「何か食べないと、体に悪いよ」
「・・・でも、食べたくないの」
「ケーキも?」
「・・・今はいらない」
由良はそう言って、マーモンに背を向けて丸くなる。
話したくないわけではないのだが、泣き腫らした顔を見せたくはないのだ。
そうすると、マーモンがベッドに腰掛けたからか、スプリングが軋んだ。
「ねえ、由良」
「・・・うん」
「何かあった?」
「・・・ベルに口利かないって言われた」
「ベルが?」
そこまで言っているとは知らなかったらしいマーモンは驚いた様子だった。
が、今はそれがショックであったし、あまり口には出したくないこともあり、
由良はスクアーロのことまでは口には出さなかった。
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| タイトル |
pink peach affair-3176 |
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「……」
雲雀の言葉に、蒼は戸惑った顔をする。
しかし、すぐに覚悟を決めたように、雲雀のシャツを握ると、再び唇を寄せた。
いつもされるように雲雀の唇を舐め、舌を滑り込ませる。
が、深いキスの仕方など知らない蒼の動きは、そこで止まった。
「……、…」
「ん、…ふ、ぁ……っ、」
蒼の行動に、珍しく驚きを隠せていなかった雲雀は、動きを止めた蒼に小さく笑う。
そして、雲雀が代わりに舌を動かせば、蒼は慌てて離れようとする。
後頭部を押さえて、それを引き止め、空いた手で蒼のシャツのボタンを外し、
脱がせてから唇を離すと、蒼は必死で荒い呼吸を整えていた。
「蒼って、着痩せするタイプ?」
「へ?」
思ったよりあるね。と呟く雲雀の視線を辿り、蒼は小さく悲鳴を上げる。
雲雀の視界から隠すように両腕を胸の前で交差させ、「見ないで下さい!」と叫ぶ蒼を無視して、
優しく押し倒し、驚いている隙にスカートと靴下も脱がすと、蒼は恥ずかしさに泣きそうになっていた。
「まだ全部脱がせてすらいないんだけど」
「そう言われても、恥ずかしいです…」
「いい子だから、腕外して」
無理矢理には離させないから。と言いつつ、雲雀は蒼の頭を撫でる。
先程から、雲雀にずっと頭を撫でられてると思い、蒼は少し困った顔をする。
雲雀が自分に合わせてくれているとわかるからだ。
寧ろ、こんなに優しい雲雀は初めてで、妙にくすぐったいというのもあるが。
「約束通り、嫌いにならないで下さいね…?」
蒼はそう言うと、おずおずと手を離して、恥ずかしそうに目を閉じた。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3175 |
今日の気分 | ベル |
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「あんな奴、放っておけよ」
由良の部屋から、殺意を纏う雰囲気で苛立って帰ってきたベルに、
ベルを行かせたマーモンとルッスーリアは、困ったように顔を見合わせる。
確かに、ここ数日、由良の態度に怒っていたようではあるが、
いつものように、無理に引き摺り出してくると期待していたのだ。
「べ、ベル…」
「どうしたのよ」
「アイツが何も言うな、放っておけって王子に言ったの」
我が儘言ってんのはあっちだから、こっちが気を遣う必要ねぇよ。
と吐き捨てるように言うベルに、マーモンは困った顔をした。
しかし、理由のわからないマーモンとしては、そう言われても心配なのだ。
「ベル、あんた何か知ってるでしょ」
「何かってなんだよ」
「由良が閉じこもってる理由よ、理由」
言いなさいよ。と言うルッスーリアに、
ベルは面倒そうに「スクアーロに彼女が出来た」と一言言った。
その言葉に、ルッスーリアは困った顔で溜め息を吐く。
以前にもこんな事があり、スクアーロが別れるしか解決方法がないと思うと、
スクアーロが気の毒だと思うのだ。
そんな2人を見て、マーモンも心底困った顔をしていた。
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| タイトル |
ただ、こっちを見て欲しいだけ-3174 |
今日の気分 | 終 |
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ベルの言葉に由良はきゅっと唇を噛む。
言われずとも、自分が心配をかけているということぐらいは分かっている。
気を使わせているということも分かってはいるのだ。
けれど、だからといって割り切れるほど自分は大人ではない。
「ベルには分かんないよ、・・・分かんない、」
誰かに分かって欲しいなどとは思っていない。
だが、こうも真っ向からそう言われるとやはり腹立たしくもあり、
口を利かないと言われれば、悲しくならないわけがない。
由良はぎゅうと枕を抱き締めて、唇を噛む。
ベルが悪いわけではないということぐらいは分かっている。
自分がそもそも悪いということだって、分かっているのだ。
「・・・、っ」
ぐすぐすと鼻を啜りながら、由良は枕に顔を押し付ける。
ここ数日泣いてばかりでもう涙など出ないだろうと思うのに、
目頭は熱くなってじんわりと涙が溢れてきた。
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