XXXニコルクラウディアカルロスラズラス

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交換日記 nikkijam

2007/12/14(金) 23:30:51 ラズラス
タイトル 徹底的に反発する三因子



「何でお前にンな事いちいち報告しなきゃなんねーんだよ」

不快感を隠すことなく(つうか隠す必要がどこにあんだよ)返答をすれば、当の本人はニヤニヤと口元を歪めて満足げに視線を外した。どうやら俺はニコルが望むような答え方をしちまったらしい。ちっきしょう。不覚だ。どうしてコイツは、人をここまで腹立たせるんだ。
もう帰ろうかな…肝心の学長もいねえし…とヤケになりはじめると、ため息が漏れる音が聞こえた。金髪男だ。何なんですか、お前まで。当て付けのようなソレに怒りの矛先が一斉に向きを変えた。

「あんだよ」
「ひどい言い方だなあ、と思ってね。いくら何でも傷つくよ」

女の子なんだから。俺の耳が正常ならばヤツはそう最後に付け加えてニコルを見た。
え、ちょっ、何、なに言っちゃってんのこの人。


「おんなのこぉ?アイツがそんなタマかよ」

俺の中の『おんなのこ』は、あんな狂った笑みを浮かべて人を殴ったりしねえ。そうだな、ふわっとしたスカートをはいて、いい匂いのする長い髪に、人好きしそうな笑顔が似合えばベストだな。だからよ、少なくともこのイカレは『おんなのこ』じゃないぞ。
まあ、こんな感じで言いてえ事は山ほどあったが、この男はそれを聞き入ってはくれなさそうだ。露骨に嫌な顔で俺を見始めて、再び盛大なため息をついた。


「下品な言い方だねえ、だから嫌なんだよ」


ほーう、言ってくれるじゃねえの。何が嫌なのか、それこそ主語が抜けてたが一瞬で理解した。
最初から薄々気がついてたけど、俺はコイツに見下されているらしい。完全に。

「俺だってお前みてーなヤツは嫌いだよ。ひとりで被害者ぶってんじゃねえ」
「僕がいつ被害者ぶったっていうんだ」
「“あーあ、どうして僕が愚劣な平民どもと一緒にいなきゃなんないんだろー”って顔してんだよ」
「…それこそ君の勝手な思い込みだろ?被害妄想はどっちなんだかね」

その一言に怒りの炎が強く煽られたのが分かる。頭の中の温度が急激に上がっていく。
右の拳が空を切っていく中、ひどく冷静な自分の声が脳内で聞こえた。
『お前、なにやってんだよ。殴ってどーすんだよ。それじゃコイツの言うとおりだろ』
今度は一気に気持ちが冷え始める。力が抜けた。




2007/12/02(日) 21:49:23 ラズラス
タイトル 最悪な因縁



「ラズくん、ひさしぶり」


金髪男に気をとられていると奇人が声をかけてきた。俺、瞬時にして拒絶反応全開。
ただ無視もできずに、首を細かく縦に振って右頬を痙攣させる。
これでニコルが黙ってくれりゃあ穏便にすんだのに

「その後いかが?パパになおしてもらえたの?」


こう来たもんだ。もうね、本当にムカつく。

コイツが何を言ってるのかといえば、先週のE・Fクラス合同演習の時の話。
それはバトルロワイヤル形式で行われた実に血生臭い戦闘で
運が良いのか悪いのか最後に残ったのが俺とこの女だった。
こう言うと何だが俺が強ぇみたいな言いぶりになるな。
断っておくが俺は積極的に動いたわけじゃねえ。殆どこの女の功績だ。
男だろうが女だろうが、ニコルは眼前に立ちはだかる者を
……いや、目についたヤツを全部片っ端からぶん殴っていったんだ。


ヤツは当然のように俺にもご自慢の棒を振りかざしてきた。
他人を痛めつけることしか頭に無え、完全にイカレた鬼畜の笑みを浮かべて。
俺はというと、ほぼ反射的に右手で握りしめていたナイフで攻撃を防いでいた。
すると『ぱきん』だか『ぺきん』だかよく分からない軽やかな音がして
今月の頭にメンテナンスをしたばかり(しかも、なけなしのオイルを全部使ったのによ!)のそれは
太陽の光をチラチラと反射させながら散っていった。


一瞬、その煌きに思考を奪われた。この隙を目の前の狂人が見逃すはずも無え。
俺は側頭部に強烈な一打を喰らって倒れこみ、見事に失格となった。
今思い出しても情けねえ。苦虫を噛むどころか、腹いっぱいに押し込まれたような気分だ。
それから2日程は機嫌が悪かった。
親父に武器修理を頼まなきゃなんねえのも、ディーンの(空気を読まねえ)慰めも
そして何より、あの日以来、この女がニヤニヤした面で俺を見てくるようになりやがったのが、腹立たしい事この上無い。



2007/11/21(水) 03:11:54 ラズラス
タイトル 拒絶、あるいは固執 今日の気分ねむいねる


結局のところ俺が学園長室前にたどり着いたのは14時を少し過ぎてからのことだった。



ちくしょう…これというのもFクラスお得意のバカ騒ぎに巻き込まれたせいだ。
いきなり集団で現れたアイツらは、それぞれ手前勝手な言葉を喚きちらし
頭から背中まで満遍なくモミクチャにされるのは勿論、握手(今更かよ…)抱擁(野郎にされる事ほど気持ち悪ィもんはねぇ)
果ては胴上げまで(これは断固として拒否した)
『やった!ウチのクラスから編成班員が出たぞー』って、お前らは俺の親か。祝ってんじゃねえ。


さて、振り返るだけで疲労濃度が上昇しそうな過去は脳細胞から消去することにしよう。
それよりも問題はこの扉の奥、学園長室内部のことだ。
当然、中には俺と同じ呼び出しをくらった奴らが来て…いる…んだけど……入りたくねえ!
磁石の反発みてえに体が室内に入ることを拒んでいる。


ああ、もう畜生!ホンット嫌なんだよ、あの女に会うのは……。



思いとは裏腹に右手は滑らかな動きで扉を押した。重っ苦しい蝶番が軋む音がうるさい。
部屋の中は予想通り広かった。
ただ想定内に収まったのは面積だけの話で、椅子だとか机だとか彫刻だとかの置物の奇抜さに少々面食らった。
なんつーか建築家の感性っていうのは理解できねえ。目がチカチカする。
そんなんだから大げさにも生唾飲み込んでしまったが、先客の二人には聞こえていないことを祈る。




向かって左には悪名高きイカレ変人女ことニコル・スペンサーが。
中央よりやや右側には大層お美しい髪を弄び暇そうにしている……実はよく知らねえ、変な男。
やつは俺をちらりと一瞥しただけで、すぐに長ぇ睫を興味なさげに伏せた。なんかムカつく。


2007/11/14(水) 01:03:23 XXX
タイトル amnion


  


                    ぼくは目覚めた


 
               瞼を開いてもそこはまだ闇の中で
                   圧迫感もないのに
              ぼくの両手は頑なに膝をかかえたまま
                  体を縮めこませている
                   まるで胎児のようだ
                  へその緒でも探そうか
 


                  さあ、はやく見つけて
                  ぼくのことを思い出して
               ずっとずっとここで待っているのに





2007/11/12(月) 02:48:44 クラウディア
タイトル 偽りの自傷 今日の気分おっしまい


馬車から降りて邸内へ向かう。


「おかえりなさいませ、クラウディア様」

何人ものメイド達が一斉に出迎えてくれたが、何一つ反応を返すことが出来ない。
普段ならこのような不遜な態度をとることにより
彼女らに陰口を言われる事を恐れて嫌でも笑顔を振りまくのだが
どうやら頬の筋肉は完全に機能を停止してしまったようだ。
やっとの思いで入浴をしたい旨を告げると、もうすでに準備はできているとの事だった。



『器』に選ばれる女に身分、階級、容姿、性格なんかは選考基準にはならない。
大切なのは“資質”だという。生まれ持って与えられた資質さえあれば浮浪者でも良いのだと。
ならばその資質とは一体何を指しているのだろう。
さしずめ不幸になってもかまわない女とでもいうのか、と自嘲したのはこれで何回目か。
それならば………どこか貧しい平民の娘がなればいいものを………。


「クラウディア様、お湯加減いかがでしょうか?」

侍女の声に彼女は意識を急激に引き戻される。
立ち込める湯気に眩暈を感じながらも、ほぼ反射的に笑って頷くと、メイドは納得して次の作業へと移った。基本的に洗髪から着替えまで令嬢がすることは殆ど無い。

それにしても今、自分は一体なにを考えていたの?
温かい湯につかりながらもクラウディアの肢体は確実に震えていた。寒いからではない。
自分の悪しき心の部分の声が、最も本音に近い部分の声が、たまらなくショックだった。


きたない。
なんてきたないおんななの。


クラウディアは気付いていないが、これは自覚ではない。ただの戒めである。
さっき過ぎった考えに罰を与える目的で、自身を貶める。
そうすれば、また自分は綺麗になれるから。
そうすれば、他の誰からも罰を、非難をされることはないから。
自分で傷をつける事により、他者からの攻撃を徹底的に防御しているだけで。

ふと、父の事を想う。優しくて強いお父様。あの胸に飛び込んで泣き出してしまいたい。
そして優しい御手で頭を撫でて微笑んでくれたなら。
夢のような妄想が頭の中で展開し始めた頃には、もう上がる時間になってしまっていた。
最愛の人を想ったことで心の平穏を幾ばくか取り戻したクラウディアだが
その表情から悲痛さが消える事はなかった。


2007/11/11(日) 23:10:35 クラウディア
タイトル その器は恐怖で満たされて


震える肩
怯える瞳
呼吸の仕方すら戸惑う
―――――そうして全てに打ち拉がれながら生きている




古くからの慣習で『器』となった者は一時的に帰宅を許される。
目を離すべきではないとの意見はたびたび出るが
この間は器同士の戦いも禁止されているので危険度は低いとされているし
器のまま散ってゆこうとも、たとえ聖母へ生まれ変わろうとも
“家族”には二度と会えなくなる運命に同情する者が大半を占めているのも事実だった。
フェルシア学院の器も例外ではなく、安全な行路で自宅への移送をしていた。




ルーベラ地方ハーツォーグ家。
郊外に位置する屋敷は静寂に包まれて、音といえば鳥の囀りしか聞こえない。
建築家ルゴール・アイフマンが設計した中でも五指に入るであろうその美しさも
クラウディアの心を動かした事は一度もなかった。
彼女は思う。
家にいて平穏だとか安堵だとかを感じることが普通であり、ならば寂しさや孤独を感じることは異常なのだと。周囲と違うことに恐怖すら覚えるクラウディアにとって、その感覚は忌むべきものである。
これではいくら外装が美しかろうと、おぞましい事この上ない。


馬車という小さな空間の中で、小気味良い蹄の音を聞きながらそんな事を思った。
従者に「懐かしいでしょう」と窓の外を見るように促されたが、言葉も景色もまるで頭に入ってこない。入る余地がない。


『なぜわたしが』


今クラウディアの脳内で何度も何度も繰り返されているのはその言葉だけだった。
時に文字として浮かび、時に誰かの声で再生され、考えを放棄することを許さない。
何を見ても聞いても触れても嗅いでも違う事を考えていても
こびり付いたシミのように激しく主張をしてくる、それ。
クラウディアは前に一度『死』について考えた事がある。
殺されること、自殺すること。
その時はどちらも恐ろしいと身震いしたが、此度のこれはその比ではなかった。


もはや、何について恐れているのかも分からない。


2007/11/05(月) 00:52:13 カルロス
タイトル 仮面をかぶった獣達 今日の気分たーんえんどだぜ!


「まあ!おめでとうございます」
「さすがカルロス様」
「喜ばしい事ですわ、私共も嬉しゅうございます」


百戦錬磨の淑女達も唐突な告白に多少の戸惑いを見せたものの、ほんの数秒で態勢を立て直し、カルロスに祝辞を送った。満面の笑み。これ以上は無いほどの喜ぶ様を見せ付けて。
裏にどんな思惑があるのかは与り知らぬ。しかし彼は言葉だけとれば本音に近いと判断し、素直に祝われ礼を返した。非の打ち所の無い幸せに満ちた空間で。心なしか葉も花も空気さえも艶やかに息づいているようである。


「器はかの“姫様”だからね、騎士役としてこれ以上の名誉はないさ」

しかしそれはカルロスの一言により崩壊を迎えた。
当の本人はティースプーンを優雅にカップの中で躍らせて女達の様子を伺い見る。
一見して笑顔に変化は見られない。しかし確実に漂う不自然さが淑女の仮面を剥ぎつつある。


「ええ、そうですわね」
「あの方こそ聖母に一番近き女性です」
「クラウディア様以外ふさわしいお方はおりませんもの」

嘘、嘘、嘘、ぜーんぶ嘘。
ひっくり返って笑い出してしまいそうな衝動が全身を駆け巡っていく。
そうならないように口の端に気をつかいながら椅子から立ち上がる。


「失礼。そろそろ向かわなければ、姫様との謁見に遅刻してしまいそうだ」

どうやらこの喜劇にもならない茶番は、自分という存在が消えて初めて結末を迎えるようだ。
駄目押しに再び器の話題を口にしてから、カルロスは庭園を後にした。



虚偽の楽園。
それは一瞬にして獣達の集会場にも成り得る可能性を秘めている。
姫がいなくなった後の獲物は天使か悪魔か神の子か。
いずれにしても“女”であることに間違いは無い。




2007/11/05(月) 00:38:49 カルロス
タイトル 灰色の明日を見る


「そういえばね」



まるで殿下の勅令だった。
女達は瞬時に発言者の方へと向きなおし、各自一番美しいと思われる表情でカルロスを見つめる。美への研究に余念の無い彼女達にとって、その動作は呼吸と同等であり、赤子の手を捻るより容易い。
しかし彼にとっても、そのような視線を向けられるのは朝一番に日光を浴びる事と差異はない。然して気にする風でもなく(寧ろアンジェラが零したクッキーのカスの方が気になる)悠然と二の句を継いだ。


「僕は選ばれたらしいよ、特別編成班とやらにね」


カルロスは今朝方一番で“見た”ものを思い出していた。



おそらく今日の13時
掲示板に張り出されるであろう出頭命令の紙
カルロス・アトゥ・デ・スティア
ラズラス・ノゼアン
ニコル・スペンサー
学園長室の絵画
“器”との対面
壺が割れる音で終幕を迎える



未来予知。
それが神子としての己の能力。
ただ今朝のように何時間も後の出来事を見るのは(ましてや覚えているのは)甚だ珍しい。
内容から言えばそれが良い事かどうかは判断しかねるが。

いたって便利、だがつまらない力だと思っているのは他の誰でもない本人である。
欲しくなかったと言えば嘘になる。しかし自分のこの保守性から生まれた能力かと思うと、これ以上の皮肉は無い。先が見えなければ身動き一つできぬのか、と。





2007/11/02(金) 00:19:37 カルロス
タイトル 甘美なる喜劇


――――――例えばこのミルフイユ


ふいにフォークで圧力をかけてみる。
元より甘いものへの執着心は薄い。
つまり食べる目的では無く単なる気まぐれで。
すると繊細なる葉で構成されたセカイは意図も容易く崩壊してしまった。


世界なんてそんなものだ。




ザッハトルテやヴァランシアといったケーキが中央に堂々たる様でそびえ立ち
その周りには媚びるようにトリュフたちが転がっている。
見ているだけでも甘美なため息が出てしまうようなテーブルを囲うは淑女達。
鈴のように可愛らしい笑い声がより一層、空気を甘いものに変えているよう。

この誰しもが羨む空間にカルロスはいた。貴族のみにしか入ることを許されていない中央庭園である。さらに言えばここは『男子禁制』という暗黙の掟がある『秘密の花園』だった。女達が創りあげた拙い楽園には大きな危険をも孕んでいたが、それを破裂させることなく存在する事を許される男は学院でも彼ぐらいのものだろう。


「カルロス様、どうなさいましたの?」

ミルフイユはお気に召しませんでしたか、とすぐ隣にいるアンジェラが覗き込んできた。
いまだ幼さの残るあどけない、大半の者が魅了されるであろう可愛らしい顔立ち。
そんな娘が不思議そうな表情で見つめてきたら学院中の男は心奪われるに違いない。
しかしカルロスは笑顔でそれをかわす。
フォークで弄んでいたモノを、ひとかけら掬って彼女の口に運んでやった。
頬を赤く染めながらも満足げに俯くアンジェラから視線を中央に移すと、他の令嬢達は美麗な微笑を浮かべている。


………嘘、か。
彼女らと同じようにカルロスも微笑みながらそんな事を思う。
あの笑顔の下には様々なモノがしたたかに隠されているのを彼は知っている。
妬み、嫉み、恨み、どうして自分が選ばれないのか、なぜあんな女が。
物心つくかつかないかの頃から“大人たちの社会”に接する機会が多かったカルロスは
自然と人の嘘を見抜く技を習得していた。
嘘か、本当か、見得か、自虐か。




2007/10/30(火) 02:30:24 ラズラス
タイトル 怠惰な騎士様


「特別編成班だよ!このあいだ“器”が出たって話聞いただろ?その後での最優先事項なんてコレしかねえよ!」



……おい、汚ねえな唾を飛ばすんじゃねえよバカ野郎。
だいたいにして何で本人よりも興奮してるんだよ。額に青筋を立てるな青筋を。
ともかく非常にいやーな事に巻き込まれたって事は理解した。
特別編成班、ねえ。正直言ってそんなんに選ばれるよりも、平穏無事に卒業できたほうがどれほど良かっただろうか。俺は外見上『冒険』だとか『刺激』だとかを欲しがる人種に見られがちだが
これでどうして面倒事は大がつくほど嫌いだ。ふざけんじゃねえ。

ともあれ学園長室に行くまで真相はハッキリとは分からねえ。何せ公式な情報は何一つ無く、特別編成班に選ばれたとほざいてんのは――俺が知る限りでは――今のところ目の前のコイツだけだ。信憑性はカス以下と断言してもいい(以前、エライ目に遭わされて俺は学習した)


「そーゆうのは貴族サマのお仕事だろ」

なんとなく口をついて出た台詞。あーあー嫌だねえ、卑屈で。


「へんけーん!差別はんたーい!それに今や時代は下克上だぜ。バカ貴族の鼻を明かしてやれよ」


おめーのほうがよっぽど差別じゃねえかよ。
確かに胡坐をかいて怠けてるような野郎に負けるつもりはねえ。それだったって貴族が全員そうゆうヤツばっかりじゃないのは分かっている。
無論、そうゆうヤツらにこそ勝ちたいと思うが、それよりも強く思うのは―――


「やる気ねえなあ、できるなら俺が代わってやりてえよ。愛しの姫様を守るナイトだ!」


なんだか俺を置いてけぼりにしてテンションを何オクターブも上げているコイツを黙らせたい。
……って姫様だぁ?なんだよあの女が“器”かよ。なけなしのやる気が容易く殺がれていったわ。あーあ…今日は厄日だ。これ以上とんでもねえ事が起こらないように小さく祈り、俺は学園長室へ重い重い足取りで向かうことにした。



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